私たちがスピーチ原稿を作成するときっていうのは、大きなテーマやポイントになる箇所というのがあります。
掲げるべきテーマや抑えるべきポイントというのは、依頼者様と新郎新婦との関係によってそれぞれ異なって然るべきものですので、だからこそ、発表者ごとの優れたスピーチになるわけなんです、手前味噌ですが(笑)
今回は実際に作成した例文を用いて、少しだけ結婚式のスピーチの作り方のコツをお伝えします。
まずは、全文をお読みください。
隆一君、瑠璃さん、ご結婚おめでとうございます。ご両家、ご親族の皆様にも、心よりお慶び申し上げます。
私ども大前田内装は、壁紙貼りやクロス工事を中心に、戸建住宅の内装工事を行なっている会社でございまして、新郎の隆一君は職人として、いつも頑張ってくれています。
隆一君が入社したのは今から約二年前のことですが、実は彼は私の後輩の友人でございまして、かねてから交流があり、もう十年来の付き合いになります。
とはいえ、先輩後輩という立場ですし、隆一君はとても真面目な人物なので、一緒に遊ぶというよりは、友人も交えてちょっと出かけたり、食事をしたりすることで親交を深めていました。
そんな経緯から、隆一君が転職するという話を小耳に挟んだとき、「是非うちに来てもらおう」と、すぐに声を掛けさせていただきました。何事にも一生懸命に取り組んでくれる隆一君ですので、きっとうちでも力になってくれるに違いないと確信し、入社していただいた次第です。
そして、その見立てどおり、隆一君は本当によくやってくれていて、今やうちの立派な主戦力です。彼にとって内装業務は初めて経験することで、もしかすると最初は苦労するんじゃないかなあと心配もしていましたが、彼は良い意味でその思いを裏切り、次々に仕事を覚えていってくれました。手先が器用で、細かい仕事もきっちりとこなしてくれますし、業務に必要な技術を早くもマスターしてくれています。
それだけではありません。隆一君は前の職場で営業担当の経験があり、元請業者様や、現場で一緒になる業者様ともよくコミュニケーションを取っていると聞きます。皆様から「隆一君は素晴らしい職人さんだね」とお褒めの言葉をいただくことも多く、私も鼻が高いと申しますか、誇らしい思いでございます。
ただ、最近なかなか一緒に現場に向かう機会がなく、事務所以外で会うことも少なくなってきておりまして、彼の勇姿を直接目にできないのが惜しいところでございます。
そんな隆一君がこのたびご結婚されるということで、本当に嬉しい思いでいっぱいでございます。瑠璃さんとのお付き合いのことも聞いていましたので、こうして二人の晴れ姿を見ていると、「本当におめでとう」という祝福の気持ちと、「これから頑張っていけよ」という激励の気持ちが湧き上がってまいります。
これから始まる長い長い結婚生活。長らく心を通わせてきたお二人ですから、きっと大丈夫。いつも仲良く、明るく温かい家庭を築いていってくれるに違いないと、大いに期待しております。とはいえ、新たな環境に身を置くわけですから、時に忙しく、疲れてしまうこともあるでしょう。そんなときは慌てず焦らず、一休みすることも忘れずにいてほしいと思います。
「目標に向かって計画的に努力をする」。ぱっと聞いただけでは至極当然のことのように思われますが、当たり前に思っていることこそ最も重要だと、私は思っております。
全速力で走り続けるには限界があります。しかし、ゆっくりと歩き続けているとなかなか目的地に到着できません。走って、休んで、歩いてと、直面する場面場面で、今自分がどうすべきかをしっかりと見定めていくことで、お二人の歩む道は明るく照らされていくと思います。
何より、今日こうして未来への大きな一歩を踏み出されたお二人ですから、末永く、幸せに人生を歩んでゆかれるに違いありません。
隆一君。瑠璃さんという伴侶を得た今、これからしっかり家庭を守っていこうと気持ちを新たにしていると思います。その気持ちを原動力に、これからまだまだ成長していくんだろうなあと、私は楽しみにしていますが、どうか無茶だけはしないように。きみは真面目で一生懸命だけど、ちょっと頑張りすぎるところもあるので、それだけが心配です。何か困ったことがあったらいつでも言ってください。私達は、いつでもきみ達二人の力になります。もう少し経験を積んだら、うちの重要なポストも任せたいと思っているので、これからも一緒に頑張っていきましょう。
弊社一同、今後も隆一君と一緒に仕事ができることを楽しみにし、何より、お二人の未来が笑顔にあふれた幸せなものになることを、心から願っています。
<本日は本当におめでとうございます。
※登場する社名・個人名、シチュエーションは、すべて架空のものです。
この例文は、従業員の結婚式で、内装工事を行う会社の社長が述べるスピーチです。
テーマとしては、「社長と従業員の距離の近さ」です。
もちろん、距離といっても本社と現場の距離ではありません(笑)社長と従業員の「心の距離」のことです。
内装工事といいますと、職人の世界ですから、縦社会の非常に厳しいイメージがあります。だからこそ、厳しいだけじゃダメで、社長と従業員がまるで家族のような関係でいるのがいいんじゃないかという捉え方をしました。
ですからこの例文では、大前田内装という会社組織はフレンドリーな会社であると定義づけました。もちろん、「フレンドリー=仲良しこよし」であってはいけませんので、ゆるい空気の社風にならないように留意しました。
1つ目のポイントとして挙げられるのは、この箇所です。
とはいえ、先輩後輩という立場ですし、隆一君はとても真面目な人物なので、一緒に遊ぶというよりは、友人も交えてちょっと出かけたり、食事をしたりすることで親交を深めていました。
ここでは、新郎は自分の後輩の友人であるという関係から、新郎が真面目な人で先輩後輩の上下関係にしっかり意識を持っている人だということをアピールしています。職人の世界は縦社会であり、新郎がそれをわきまえていることを、ここでは表しています。
ポイントの2つ目はここです。
「がんばれ」と言っているようで、「ゆっくりやっていったらいい」と言っている、この優しさ。
「ちょっと頑張りすぎるところもあるので、それだけが心配です。」この節は書き方によってはネガティブに聞こえる場合(がんばりすぎるのが、あまりよくないニュアンス)があるが、ここでの判断としては、心配しているということは新郎のことを思っている証拠だから、文章の最後に「それだけが心配です」という言葉を持ってくることによって、ポジティブ、つまり従業員への気遣いを示すことができています。
最後、3つ目のポイントは、ここです。
人生をどういうふうに過ごせばいいか、それを伝えています。
ここも上述の箇所と同じように、「がんばれ」と言っているようで、「ゆっくりやっていったらいい」と言っているのと同様ですね。全速力には限界があるよ、でも、ゆっくりすぎたら目的地まで到着しないよ。厳しいことは言わずに、決して甘いことも言わない。だからこそ餞(はなむけ)の言葉として成立するんですね。
主賓の立場の例文を見てみる |
「作成サービスの詳細」はこちら
「お申し込みから納品まで」はこちら
無料見積もりは、下記のいずれかの方法でご連絡ください。
073-435-0707
(10時~18時 土日・祝を除く)
メールでの無料見積もり:
メールフォームはこちら
(クリックすると開きます)
FAXでの無料見積もり:
FAXの用紙はこちら
(ワードファイルが開きます)