「”心に残る言葉”を届けたい」
部下から、結婚式のスピーチを頼まれた上司は、皆さん同じように思っています。
しかし、格式ある場でありながら、ありきたりになりすぎず、かといって砕けすぎてもいけない——そんなバランスに悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回ご紹介するのが、スピーチに深みと説得力を与えてくれる「ことわざ」です。
古くから人々に語り継がれてきた知恵や人生観は、結婚という節目にもぴったり。当日の主役である新郎新婦への祝福を、温かく、時にはユーモアを交えて伝えることができます。
下記に、格式ある場面でも安心して使える「結婚式スピーチに最適なことわざ」23選を、意味や具体的な活用例とともにご紹介します。
「ことわざ」を味方に、聞く人の心に残る、そして新郎新婦の人生に寄り添うスピーチを贈ってみませんか?
初心忘るべからず
意味: 初心、すなわち物事を習い始めた頃の謙虚で真剣な気持ちや、初めに思い立った志を忘れてはならないという教え。
活用例: 「能の世界の言葉に『初心忘るべからず』という教えがあります。何事も初めて挑戦した時の真剣で謙虚な気持ちを忘れてはいけないという意味です。今日の純粋な愛と感動を胸に、結婚生活が長くなっても初心の思いや感謝をぜひ忘れずにいてください。いつまでも初々しい気持ちで相手を思いやる夫婦でありますように。」
笑う門には福来る
意味: 笑い声の絶えない人の家には、自然と幸福が訪れるものだということ。明るく朗らかな家庭には福が舞い込むという意味の吉兆ことわざ。
活用例: 「『笑う門には福来る』と言います。これから先、辛いことがあってもお二人で笑顔を絶やさず、明るい家庭を築いてください。笑顔あふれる家には必ず幸せがやって来ます。○○君は職場でもムードメーカーでしたから、新しい家庭でもきっと素敵な笑顔で福を呼び込んでくれることでしょう。」
千里の道も一歩から
意味: 大きな目標も最初の一歩から始まる。
活用例: 「きょう踏み出すこの一歩が、千里の道を共に歩む始まりです。」
親しき仲にも礼儀あり
意味: 親しい間でも礼節は忘れてはいけない。
活用例: 「夫婦とはいえ親しき仲にも礼儀あり。感謝と敬意を大切に。」
馬には乗ってみよ、人には添うてみよ
意味: 馬も人も実際に付き合ってみて真価がわかる。
活用例: 「これからの共同生活でこそ、お互いの新しい魅力が見えてくるはずです。」
愛は小出しにせよ
意味: 激しすぎる愛情は長続きしないもの。少しずつ愛情を示し、長く持続させる方が良いということ。
活用例: 「昔から『愛は小出しにせよ』と言います。最初から全力で愛情を注ぐよりも、少しずつ末永く愛情を注ぎ続けるのが良いそうです。○○君(新郎)も最初の熱い気持ちを忘れず、毎日少しずつ△△さん(新婦)への愛情を表現し続けてください。お二人の愛がこれから先もずっと長持ちすることを願っています。」
結婚生活はマラソンのようなもの
意味:結婚は短距離走のように一瞬で結果が出るものではなく、長い時間をかけて互いに歩調を合わせ、支え合いながら走り続けるもの。時にペースを落とし、時に励まし合いながら、ゴールを目指す姿がマラソンに似ているというたとえ。
活用例:「よく『結婚生活はマラソンのようなもの』と言われます。最初に飛ばしすぎても息切れしてしまいますし、途中には上り坂や下り坂もある。だからこそ、大切なのはゴールまで無理なく、支え合って走り続けることです。どうかおふたりで、互いのペースを尊重しながら、人生という長い道のりを並んで走り抜けてください。」
案ずるより産むが易し
意味: 物事はあれこれ心配するよりも、いざ実行してみれば案外たやすくできるものだということ。
活用例: 「結婚生活に踏み出すにあたって不安もあるかもしれません。しかし『案ずるより産むが易し』とも言います。あれこれ心配するより、実際にスタートしてみれば意外とうまくいくものです。○○君と△△さんならきっと協力し合って、どんなことも乗り越えていけると確信しています。」
砂子長じて巌となる
意味: 小さな砂粒も長い年月で大きな岩になるということから、末長く栄えることや長生きすることを祝う言葉。
活用例: 「ご結婚おめでとうございます。古いことわざに『砂子長じて巌となる』とあります。小さな砂が長い時を経て大きな岩になるように、お二人の家庭も年月とともに絆が強く大きく育っていきますようにという意味です。今日という小さな一粒の“幸せの種”が、将来大きな岩のように揺るぎない幸せとなることを心から願っています。」
手鍋提げても
意味: 好きな人と一緒になれるなら、自分で鍋を下げて歩くような貧しい暮らしでも厭わないということ。どんな苦労も愛する人となら乗り越えられるという覚悟を表します。
活用例: 「『手鍋提げても』という言葉があります。愛する人と夫婦になれるなら貧しい生活でも構わない、どんな苦労もいとわないという意味のことわざです。お二人も、これからどんな困難があっても互いに手を取り合い、どんな暮らしでも幸せと思える強い絆で結ばれていると信じています。」
似合う夫婦の鍋の蓋
意味: 鍋とフタがピッタリ合うように、夫婦の間がしっくり調和していることのたとえ。性格や趣味が似た者同士が結ばれている様子を言う。
活用例: 「○○君と△△さんは本当にお似合いですね。まさに『似合う夫婦の鍋の蓋』だと感じます。お二人は性格も趣味も息がぴったりで、鍋と蓋のように絶妙な組み合わせです。これからもその相性の良さを活かして、助け合いながら温かな家庭を築いてください。」
一人口は食えぬが二人口は食える
意味: 独身で一人で暮らすより、夫婦二人で暮らす方が生活にゆとりができ経済的に得策であるということ。二人で協力すれば生活が安定するという教え。
活用例: 「『一人口は食えぬが二人口は食える』と申します。一人より二人で暮らす方が何かと効率も良く、豊かに暮らせるという意味です。○○君もこれからは頼もしいパートナー△△さんと二人三脚で家計をやりくりして、より安定した幸せな暮らしを築いてください。」
縁は異なもの、味なもの
意味: 男女の縁(巡り会いや結びつき)はどこでどう結ばれるかわからず、実に不思議で面白いものだということ。
活用例: 「お二人の出会いも不思議な巡り合わせでしたね。『縁は異なもの、味なもの』と言うように、どこにご縁が転がっているか分からないものです。会社の同僚だったお二人が今日こうして夫婦になられるのも、まさに不思議なご縁のなせる業でしょう。これからもこのご縁を大切に、末永く素敵な関係を築いてください。」
おしどり夫婦
意味: 《オシドリ(鴛鴦)の雌雄がいつも仲睦まじく寄り添っていることから》非常に仲の良い夫婦のこと。
活用例: 「本日の主役であるお二人を見ておりますと、まさに『おしどり夫婦』になるだろうと確信しております。これから先、オシドリのようにいつも寄り添って仲睦まじく歩んでください。周囲の皆が羨むような仲良し夫婦でいてくださいね。」
雨降って地固まる
意味: もめごとなど悪いことが起こった後は、かえって土台がしっかりして良い状態になるというたとえ。困難を経て絆が深まることを表す。
活用例: 「人生長く生きていますと色々なことがあります。時には衝突することもあるかもしれません。しかし『雨降って地固まる』というように、雨が降った後は地面が固まる=揉め事の後は今まで以上に基盤がしっかりするものです。もし意見の食い違いで雨が降るような時も、その後にはさらに強い信頼で地固まると信じています。お二人ならきっと大丈夫です。」
夫婦喧嘩は犬も食わない
意味: 夫婦喧嘩は犬でさえ見向きもしない(食べない)という俗諺。夫婦のいさかいはありふれていてすぐ仲直りするものだから、他人が仲裁に入るのは愚かなことであるというたとえ。
活用例: 「お二人も長い人生、時には言い争いをすることもあるでしょう。でもご安心ください、『夫婦喧嘩は犬も食わない』と言いまして、ご夫婦のケンカなんて犬ですら相手にしないものです(笑)。ケンカしても周りは放っておくものですし、お二人もすぐ仲直りできます。むしろケンカするほど仲が良いとも言いますから、たまには意見をぶつけ合いながらさらに絆を深めてください。」
情けは人の為ならず
意味: 人に親切にすれば、その相手のためになるだけでなく、やがて巡り巡って良い報いとなって自分に返ってくるということ。誰に対しても親切にすべきだという教え。
活用例: 「『情けは人の為ならず』という有名な言葉があります。人にかけた情けや親切は自分にも返ってくるから、誰にでも親切にしなさいという意味です。どうかお互いに思いやりを持って接してください。相手のためにしたことは必ず自分にも幸福となって返ってきます。お二人の優しさが実を結び、家庭円満につながることでしょう。」
縁の下の力持ち
意味: 人目につかない所で他人を支え、苦労・努力すること。または、そうした陰の立役者をたとえる言葉。
活用例: 「結婚生活はお互いを支え合うことが大切です。職場でも縁の下の力持ちとして周囲を支えてきた○○君なら、家庭でもきっと△△さんを支え、支えられ、素晴らしいパートナーシップを築けるでしょう。お互いがお互いの“力持ち”となって、陰ひなたなく支え合うご夫婦でいてください。」
結婚は悲しみを半分に、喜びを二倍に、そして生活費を四倍にする
意味: 「結婚すると悲しみは2人で分け合うので半分になり、喜びは2倍になる。しかし生活費(出費)は4倍にも増えてしまう」というユーモラスな内容のことわざ(イギリスのことわざ)。結婚生活の喜びと苦労をユーモア交えて表現した言葉。
活用例: 「面白い言葉に『結婚は悲しみを半分に、喜びを二倍に、そして生活費を四倍にする』というものがあります。喜びは2倍、悲しみは半分…しかし出費はなんと4倍!(会場笑) 新生活は物入りですが、お二人で力を合わせれば乗り切れます。お金はかかっても、それ以上の喜びがきっと待っていますから、どうぞ助け合って幸せな家庭を築いてください。」
笑いジワこそ、夫婦の勲章
意味: 年を重ねるほどに、笑い合った証が顔に刻まれる。笑顔の積み重ねこそが、ふたりの歴史になる。
活用例:「これから先、たくさんの時間を一緒に過ごして、たくさん笑ってください。楽しいことばかりじゃない日も、くだらない冗談で笑い飛ばすような日々を重ねていくうちに、きっと“笑いジワこそ、夫婦の勲章”と言えるような素敵な表情が生まれてくると思います。歳を取るのが楽しみになるような夫婦でいてください。」
一灯をともせば、千の夜も照らされる
意味: 小さな思いやりが、長い人生を明るく照らす。ほんの少しの優しさが、日々を救ってくれる力になる。
活用例:「結婚生活の中では、必ずしも大きなことばかりが大切なのではありません。たとえば、疲れて帰ってきたときに『おつかれさま』のひと言があったり、黙ってそばに座ってくれるだけで救われる日もある。“一灯をともせば、千の夜も照らされる”。そのひとつの灯りを、これからも互いにともし続けてください。」
手を取り合えば、風もそよ風
意味: どんな困難でも、ふたりの力で向き合えば、やわらかく受け流すことができる。
活用例:「人生には思いがけない風向きの変化があるものです。強い風が吹いても、お互いが手を取り合っていれば、それはただのそよ風に変わります。“手を取り合えば、風もそよ風”。これからの人生、どんな季節もふたりで並んで歩いていってください。たとえ嵐の日でも、ふたりならきっと穏やかに乗り越えられます。」
ふたりの歩幅で道はできる
意味: 自分たちに合った歩き方で進んでいけば、それがふたりだけの人生の道となる。周囲に合わせず、自分たちらしく歩むことの大切さ。
活用例:「世の中にはいろんな夫婦の形があります。誰かのペースと比べる必要なんてないんです。“ふたりの歩幅で道はできる”。ときには立ち止まったって、遠回りしたっていい。おふたりにしか作れない道を、どうか大事に、ていねいに歩んでいってください。その道こそ、人生でいちばん愛おしい旅路になるはずです。」