社員の結婚式での社長のスピーチという捉え方をしてはいけない。その前に友人同士という間柄があるので、その配慮をすべきである。というお話です。
シチュエーション:
○発表者は社長。新郎は高校時代からの友人(同級生ではない)で社員。
友達同士の間柄 社長と社員の間柄
今回は社長のスピーチなのですが、ちょっと変わった、社長と社員の関係です。
というのも、結婚する社員さん(新郎)が高校時代からの友達だからなんです。
普通、友達同士であれば2人で「さあ会社を作ってやっていこうよ」とか「こんなサービスを提供していこうよ」とか、文字通り2人でやっていく、共同経営者としてやっていく場合が多いはずです。これは同級生だけじゃなくても高校の先輩・後輩、大学の先輩・後輩の間柄であっても同様です。
ですが、今回取り上げるのは、友達なんだけど社長と社員の間柄であるということですね。
整理しますと、
○対等の友達関係がある。
○社長と社員という関係がある。
という2つの側面を持っているのが特徴です。
このように2つの側面を持つスピーチをつくるときに、押さえないといけないことがあります。
「社長としてスピーチする」と思っちゃダメ
社長の立場でスピーチするときは、どうしても新郎がどれだけ仕事をがんばっているか、どれだけ仕事で結果を出しているかなどを話し、とくにそれを褒める内容が多くなります。当然と言えば当然です。
ただ、その社員が友達であるという概念が入ったときに、その友達に対して、
「彼は仕事よくがんばってくれているんだ」
とは、なかなか言えるものではありません。これを平気で言える人は、よほどの大物か、単にバカだと思います(だいたい後者 笑)「偉そうに何を言っているんだ」という世界です。
つまり、この部分に配慮をして文章にしていく必要があるというのが、今回の内容です。
このことを念頭に、中身を見ていきましょう。
まずははじめの挨拶です。ここは、とくに何かを考慮する必要はなく、自己紹介であったり、招いていただいたことへの感謝であったり、何より、新郎新婦・ご両家の皆様へのお慶びの言葉などを入れます。
ここでは会社の紹介をしています。「漆塗りの器を製造・販売している」「まだ創業したばかりである」「大正から続く伝統ある工房で修行を積んだ」これらはすべて会社を紹介するための文言です。
この段落で表現として気をつけておくべきことは、社長さんと社員さんという立場でありながらも、「二人で立ち上げたんだ」という表現にする。ここがこの段落でのポイントになります。つまり、実際はふたりで立ち上げたかというと、少し言い過ぎなんだと思います。社長と社員の立場でいらっしゃるということは、おそらくこのスピーチする社長が立ち上げたと思います。新郎はくっついてきたんだと思います、実際のところは。
一緒に立ち上げたというのは共同経営のときに使うのに適した表現ですが、ただ、もし仮にこれが自分がつくった会社に「自分にもやらせてよ」といってくっ付いてきました。もちろんこういう言い方はすべきではないというのは、ごく一般常識としてわかると思いますが、そこの配慮の言葉として、二人で立ち上げたという表現を用いると、もしくは、ここで違う表現を用いるとすれば、「私がつくった会社に彼も協力してくれたんだ。」「協力してくれるようになったんだ」という、「ふたりで立ち上げた」よりは、やや現実寄りにしている表現です。
実際のことをそのまま伝えるということではなく、少し角度を変えてオブラートに包むというのが大切です。
この段落は、会社を立ち上げるに至った前段としての役割があります。ここでは、とくに配慮をすべき箇所はないため、実際の経験どおりの内容で大丈夫です。
ここでは新郎の仕事ぶりのことを述べています。重要な表現が3つあります。
1つ目は、「何事も真面目に取り組む修平さん。」これは友達のことを話すときでも用いて不思議じゃない言葉です。それを仕事に置き換えてもこの言葉は自然と用いることができるということですね。たとえばこれが、「与えられた仕事に真面目に取り組む修平さん。」であれば、社長のスピーチでは成立しますが、友人同士の間柄で使うべき表現ではありません。
2つ目は、「本当にお世話になっています。」この表現は、すごく相手のことを配慮した言葉です。会社の代表者の口から、「彼には本当にお世話になっているんですよ」という言葉があると、仕事ぶりを評価しているということに繋がり、また、友達の間柄ですごく上から言っているということにはならないので、使い勝手がいい言葉です。
3つ目は、「彼がいてくれたからこそ乗り越えられた壁もあるほどで、本当に心強く思っていますし、信頼しています。」決して社長が社員に言っている内容としても捉えることができますが、もっとフラットな間柄だからこそ伝えることができる表現です。ここの部分も表現を考慮したうえで、こういった内容にすればいいです。
大事なのは、本当にそう思っているかどうかです。本当にそう思っているということは、実際に本当に彼がいてくれたから乗り越えられたという過去の出来事がある、心強く思うことが過去にあったからこそ、このような言葉が出てきます。ですから、まったくそう思っていないことを伝えた場合、ご臨席の皆様はわからないですが、新郎本人に対しては、「そんなこと思ってないのに」と思われてしまうかもしれません。ですから、まったく思っていないことを書いてはいけないです。
悠里さんとのお付き合いのことは聞いていましたので、お二人が幸せそうに笑っているのを見ていますと、とても感慨深い思いがいたします。
ここは、結婚が決まったときのお話になります。社長・社員だから、友人関係だからということで判断を要する必要はありません。「結婚決まったか、よかった、うれしいよ」と、純粋に喜びを表す内容にしていただいたら大丈夫です。
もしこれが純粋な社長の祝辞であれば、訓示めいた内容を述べたくなるところです。はなむけの言葉というものですね。しかしながら、やはり友人関係があるので、配慮をする必要があります。ここでは、どういう配慮を示しているかというと、これまでやってきたことがきっと新郎の力になって、ご家族を守るための力になる。つまり、今まで私たちが一緒にやってきたことは力になるはずだという、どちらかといえば友人に対して言っている言葉です。たとえば、「仕事で結果を出すことによって、それが自身になって家族を守っていくための力になるだろう、がんばってください。」これは社長の言葉ですが、上記はそうではない、友人としての言葉です。
ここでの特徴は、最後の「一緒にやっていけたらいいなあ」です。「がんばってください」「期待しています」これは社長の言葉です。これらを使うのではなく、「一緒にやっていこうよ」と、「一緒に作り上げていこうよ」という思いを述べるということですね。
今後も修平さんと共に仕事ができるのを楽しみに」している。期待をしているんじゃないんですよね。結婚して、家庭ができたので仕事をがんばるという感情になって、そのがんばりに期待しているんじゃないんです。結婚して幸せになる新郎とこれからも一緒に仕事ができることを心待ちにしている、「また明日から楽しみだなあ」「新婚旅行から帰ってきてから、またいつもどおり仕事ができるのが楽しみだ」こういった伝え方をするということですね。
締めの言葉については、とくに友人同士の間柄だからとか、社長と社員さんの間柄とか、ということで分ける必要はないですね。お祝いを申し上げること、祝辞を締めさせていただく趣旨のことを伝えて、祝辞が完了するということになります。
そのほか、新郎のことを修平さんというふうに、「さん」付けで言っているのが配慮の表れです。友達同士でなかなかしたの名前に「さん」付けで呼ぶことは、もしかしたらあるかもしれませんが、珍しいことだと思います。たいていは、ニックネームだったり、「君」づけだったり、もしくは呼び捨てだったり。男同士だと上の名前で呼び捨てが多いかもしれません。ここでは、両家のご親族もいらっしゃいますので、「さん」付けをしているのが特徴です。
■全文
私たちは、漆塗りの器を製造・販売しております。まだ創業したばかりですが、大正から続く伝統ある工房で修行を積み、新郎の修平さんとふたりで立ち上げました。
高校時代からの付き合いだった私たちは、当時まだ漆器への関心は深くなかったのですが、観光地での漆塗り体験に参加してみたところ、見事に魅了され、現在に一歩を踏み出しました。
何事も真面目に取り組む修平さん。製造だけでなく、時には販売業務にも携わってくれて、本当にお世話になっています。いろいろ相談にも乗ってくれて、彼がいてくれたからこそ乗り越えられた壁もあるほどで、本当に心強く思っていますし、信頼しています。
結婚の話を聞いたときは本当に嬉しく、「いよいよこのときがきたか」と思いました。
悠里さんとのお付き合いのことは聞いていましたので、お二人が幸せそうに笑っているのを見ていますと、とても感慨深い思いがいたします。
修平さんなら、どんな道もしっかりと歩み、悠里さんと素晴らしい家庭を築いていくことでしょう。これまでやってきたことが、きっと修平さんの力になって、ご家族を守るための糧になってくれるはずです。
また、お仕事に関しても、これからも熱い思いを持ちながら、一緒にやっていけたらいいなあと思っています。
弊社一同、今後も修平さんと共に仕事ができるのを楽しみにし、お二人の未来が明るいものになることを、心から願っています。
【締めの言葉】
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