友人代表の立場で乾杯の挨拶という珍しいケース。少年野球をやっていた関係で、どうやら発表者と新郎は親御さんもおじいちゃん(コーチ)とも懇意にしているようです。友達だからこそ社長や上司の方の乾杯の挨拶とはまた違った軽やかなものになっています。
裕行、由紀さん、今日は結婚おめでとう。
僕と裕行の出会いは、小学生のときで、当時の裕行は、同じ学年の子どもの中でも、かなり身体が大きいほうでした。体格が良いのは今も変わらないのですが、初対面のときは、それはもう怖くて、仲良くなれるかどうか不安に思うところもありました。
そんな僕らが仲良くなったのは野球があったからです。小三の頃に一緒にスポーツ少年団に入って、中学でも一緒に野球部に入って野球をやっていました。
練習は大変でしたが、小学校でも中学校でも、チームのみんなが仲が良かったので、賑やかな輪の中で野球をするのが楽しくて仕方がありませんでした。
また、スポーツ少年団のコーチは、皆さんもご存知の「塩田のじっちゃん」こと、僕の祖父です。じっちゃんは、僕と仲の良い裕行のことを、僕と同じか、あるいはそれ以上に可愛がっていて、このたびの結婚のことも心から喜んでくれています。
お祝いのメッセージも預かってきましたので、この場を借りて読ませていただきます。
(手紙を取り出す)
「裕行、今でもしっかり練習してるんだろうなあ。結婚おめでとう。幸せになれよ」
高校では同じクラスになることはありませんでしたが、僕らの繋がりが途絶えることはなく、僕と裕行と、もう一人、佐藤の三人でつるんでは、毎日のように遊びました。ゲーセンに行ったときなどは、裕行の手先の器用さが遺憾なく発揮され、UFOキャッチャーでたくさんの景品を獲得していたものです。でも、裕行はその景品を全部、一緒に遊ぶ友達にプレゼントしていました。今思えば、それは、友達の喜ぶ顔が見たいという、彼の優しい一面の現れだったのだと思います。
由紀さんとのことはもうずいぶん前から聞いていたし、二人は長い付き合いだから、いずれ結婚するだろうとは思っていました。といってもこうやって見てると、やっぱりなんだか衝撃を受けます。もちろん、僕も佐藤も喜んでいますよ。
裕行。その屈強な身体で由紀さんを守ってあげてください。そして由紀さんは、美味しい手料理で裕行を癒してあげてください。
由紀さん。時々、僕らに裕行を貸していただけると有り難いです。僕は、裕行とこれからも今までと変わらない関係でいたいし、時間の許す限り一緒に遊んだり、飲みに行ったりもしたい。家族ぐるみの付き合いは、じっちゃんも望むところだと思うので、どうかこれからもよろしく。
それでは、乾杯に移らせていただきます。
【乾杯の音頭へ】
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