私たちの膨大なスピーチ原稿作成の経験から、新郎のウェルカムスピーチに、例文は使えないと思います。
もっと踏み込みますと、せっかくの一世一代の晴れ舞台のご挨拶の内容なのに、例文なんて使うともったいないです。
きっと例文を参考にしようという方は、文章の作り方がわからなかったり、頭の中では思い描いていてもそれをアウトプットすることが難しく感じたりするからだと思います。
だから、なんとなく例文にありそうな、どこにもありそうな内容に「置きに行ってしまう」のではないかと。
でも、どうかご安心ください。
「こういうウェルカムスピーチにしなければならない」というルールがあるわけではありませんので、もっと自由にウェルカムスピーチを考えてください。
今、新郎の頭の中にある「こうでなければならない」を、解消していきたいと思います。
1、ウェルカムスピーチに決まった構成はない
たいていの場合、下記のような構成にはなりますが、
・ご出席いただいた皆様にお礼を申し上げる
・結婚式の報告をする
・締めの言葉
もともと、ウェルカムスピーチに決まった構成があるわけではありませんので、これらの3つの構成と決めきらないほうがよいです。
皆様にお礼を申し上げることは当然としまして、結婚式の報告は別に伝えても伝えなくてもどちらでもよいのではないかと思います。(決まり文句のように言ってもあまりそれ自体意味を成さない気がします)
それよりも、そのほかの新郎新婦自身が伝えたいことが少なからずあるはずですので、それをどのように盛り込むかを考慮したほうが、優れたウェルカムスピーチになります。
2、スピーチの時間は決めなくてもいい。
新郎新婦自身がウェルカムスピーチで何を伝えたいかを整理し、盛り込んで、結果としての長さでOKです。さすがに5分を超えてくると長いなあという感はありますが、おそらくそこまではいかないのではないかと思います。
3、親族を「ゲスト」と思ってはいけない
結婚披露宴の、よくある出席者の内訳は、以下のとおりです。
・両家の親族
・会社関係
・友人関係
このほか、お世話になっている方や地域の方なども出席されることもありますが、こういった方々の中で、親族だけは、他の出席者と同列に並べないほうがよい(「ゲスト」と思わないほうがよい)です。
両家の親族は自分のところの新郎と新婦のことで出席しているのに対し、会社関係や友人関係は、新郎新婦のためにわざわざ出席してくれています。この違いを押さえる必要があります。ですから、まずはこの「わざわざご出席をいただいている方々」に対してお礼を申し上げるべきで、親族は二番目という位置づけのほうがよいですね。
もちろん、ウェルカムスピーチの中で「お礼を言う先」を分ける必要もないという考え方もあります。
いずれにしても優先順位を間違えないようにする必要があります。
4、ウェルカムスピーチで、大事な、具体的な話をしないほうがいい
「新郎新婦が伝えたいことを盛り込む」とお伝えしましたが、ウェルカムスピーチ(披露宴がはじまった直後の初めのご挨拶)という性格上、あまり大事な話し、それも具体的に伝えるのは、もちろん最終的には新郎新婦の好みではありますが、伝えないほうが円滑ではないかと思います。
たとえば、妊娠の話。「じつは新しい命を授かりました」。もちろん、めちゃくちゃ重要なことですので、伝えるべきではあるのですが、たぶん、ウェルカムスピーチで話す内容としては、ちょっと毛色が違う話のように思います。つまり、披露宴がはじまって初っ端に話すにしては重要度が高すぎるような気がするのです。
いかがでしょうか。
なんとなく、「ウェルカムスピーチって自由なんだなあ」と思っていただけたと思います。
そうなんです。「こういう内容にしなければならない」ではなく、「こういう内容にしたい」という自発性がとっても大事で、このことに注目して文章をつくっていただきますと、結果として素晴らしいウェルカムスピーチになるはずです
さあ、式までまだ少し日があります。
ゆっくりと自分が話したいことを整理して、素晴らしいウェルカムスピーチにつなげてください。