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結婚式 親族代表の挨拶 例文「甥が叔父の会社の社員」
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結婚式での親族代表のスピーチ――とくに、新郎や新婦と「家族」としてだけでなく、「仕事上の関係」も持っている場合には、話の視点や内容に注意が必要です。関係が深いからこそ語れることがある一方で、視点が混在すると、スピーチ全体の軸がぼやけてしまうこともあります。
たとえば、ある叔父と甥のケースを見てみましょう。
叔父は地元で建築設計事務所を経営しており、甥はその仕事に憧れて育ちました。大学では建築を専攻し、卒業後は他の建設会社で実務経験を積んだ後、叔父の事務所に入社。今では重要なプロジェクトを共に担うパートナーにまで成長しています。
このような背景の中でスピーチを任された場合、まず大切なのは、「自分はどの立場から話すのか」をはっきりさせることです。親族として話すのか、社長・先輩建築士として語るのか、それとも両方を自然に織り交ぜるのか。この立場の整理が不十分だと、話があちこちに飛び、聞き手に伝わりづらい印象を与えてしまいます。
親族代表として語るのであれば、子ども時代の思い出や家庭でのエピソードを中心に、温かく包み込むようなスピーチが自然です。一方、仕事の話を中心に据えるのであれば、その人がいかに成長したか、どんな価値を職場にもたらしているかといった、職業的な評価が軸になります。両者を組み合わせる場合は、どちらに主眼を置くのかを明確にしたうえで、流れを丁寧に設計することが大切です。
さらに重要なのは、甥がどのような経緯でその会社に入社したのかという点です。家業に自然と入るような流れだったのか、外部での経験を積んでから自ら志願して戻ってきたのか、あるいは家庭の事情など別の背景があったのか。その“経緯”が、スピーチに深みや説得力を与える手がかりとなります。
どんな背景であれ、それをどう語るかによって印象は大きく変わります。経験や覚悟を強調したいなら、経緯をしっかり描写する。一方で、事情に触れすぎるのが適切でない場合は、「今、どれほど信頼される存在になっているか」に焦点を当てることで、前向きな語りができます。
結婚式のスピーチは、スピーチをする方のその人らしい視点がにじむときにこそ、人の心に届くものになります。だからこそ、「何を話すか」だけでなく、「どういう立場で語るか」「どんな関係性を描くか」を整理することが、良いスピーチづくりの第一歩になるのです。