この記事の内容
上司スピーチで「人柄」を伝える難しさ
先日、ある結婚式に出席しました。新郎の上司にあたる方がスピーチをされていたのですが、その内容がとても印象的だったんです。
「彼がアメリカに赴任していた頃、時差が14時間あったんですが、毎朝、日本時間の9時には必ず報告が届いていました」
たったこれだけの話なのに、会場の空気が変わったのを感じました。新郎のお人柄が、すっと伝わってきたんです。
上司のスピーチって、どうしても「優秀な社員です」「よく頑張っています」みたいな、当たり障りのない言葉になりがちですよね。私自身、何度かスピーチを頼まれたことがありますが、正直、何を話せばいいのか毎回悩みます。
でも、このスピーチを聞いて思ったんです。具体的なエピソードひとつで、こんなに伝わるものなんだ、と。
実例:時差14時間でも毎朝報告を続けた部下の話
海外赴任中のエピソードがスピーチに使える理由
海外赴任って、最近は珍しくなくなりましたよね。若手のうちから海外支社に出る人も多いですし、数年間の駐在を経験している部下がいる、という方も少なくないと思います。
その時期のことって、スピーチのネタとしてはあまり使われない気がします。「一緒に働いていなかった時期だから」という理由で、避けてしまうのかもしれません。
でも、考えてみると、離れていた時間にこそ、その人の本当の姿が見えるんじゃないでしょうか。
上司の目が届かない場所で、どう仕事に向き合っていたか。誰も見ていないところで、何を大切にしていたか。それって、その人の本質そのものだと思うんです。
「毎朝9時に報告が届いていた」という事実
冒頭で紹介したスピーチの話に戻ります。
日本の朝9時は、アメリカだと夜の7時とか8時。普通に考えたら、もう仕事を終えている時間です。「報告は翌日でいいよ」と言いたくなるような時差ですよね。
でも、その新郎は違ったそうです。日本のメンバーが出社したときに、すぐ状況がわかるように。そう考えて、毎朝、日本時間に合わせて報告を送り続けていた。
上司の方は「無理しなくていい」と何度か伝えたそうです。でも、本人は「このほうがチームとして動きやすいと思うので」と、最後までそのスタイルを変えなかった。
この話を聞いたとき、新郎のことをよく知らない私でも、「ああ、誠実な人なんだな」と自然に思えました。そして、隣に座っていた新婦のご両親が、少し安心したような表情をされていたのも印象的でした。
なぜこのエピソードが心を動かすのか
具体的な数字があると、想像できる
このエピソードが響いた理由のひとつは、具体的な数字があったことだと思います。
「海外にいても連絡をくれました」だと、正直、あまり印象に残らない。でも「時差14時間あっても、毎朝9時には報告が届いていました」と言われると、情景が浮かびますよね。
アメリカの夜、仕事を終えて、でも日本のことを考えながらパソコンに向かっている姿。それが、聞いている人の頭の中に自然と描かれる。
大げさな言葉で褒めるより、ずっと説得力がありました。
仕事の話が、人柄の話になる
上司のスピーチって、どうしても「仕事の評価」になりがちです。「営業成績がトップでした」「大きなプロジェクトを成功させました」。そういう話も、もちろん立派なことなんですけど、結婚式で聞きたい話かというと、ちょっと違う気がします。
でも、「時差があっても毎朝報告を欠かさなかった」という話は、仕事の話でありながら、人柄の話になっているんですよね。
誰に言われなくても、自分で考えて、チームのために動ける人。そういう誠実さは、きっと家庭でも発揮されるだろう。聞いている人は、自然とそう思える。
スピーチ全体の中での使い方
スピーチの最後、上司の方はこうおっしゃっていました。
「仕事でこれだけ誠実に向き合える彼ですから、〇〇さんとの生活でも、きっと同じように誠実に向き合っていくと思います」
仕事の話から始まって、自然と結婚への祝福につながっていく。とてもきれいな流れでした。
上司スピーチの構成としては、以下のような流れが自然です。
- 冒頭:形式的な挨拶と、新郎(新婦)との関係性の紹介
- 中盤:海外赴任時のエピソードで人柄を描く
- 終盤:「この誠実さがあれば、家庭も安心」という結婚生活への祝福
自分のエピソードを見つけるヒント
もしあなたが部下の結婚式でスピーチを頼まれているなら、ちょっと思い出してみてください。
海外赴任に限らず、出張が多かった時期、リモートワークだった時期、別のチームに出向していた時期。離れていたときに、その人が見せてくれた姿はなかったでしょうか。
特に、「言われなくてもやっていたこと」に注目してみてください。指示されたことをやるのは、誰でもできます。そうじゃなくて、自分で考えて、自発的に動いていたこと。それが、その人らしさを一番よく表していると思います。
エピソードを具体的にする言い換え例
もし思い当たるエピソードがあったら、できるだけ具体的に話してみてください。
- 「よく連絡をくれた」→「毎朝9時には必ずメールが届いていた」
- 「時差があっても」→「14時間の時差があっても」
- 「長い間続けていた」→「2年間、一度も欠かさなかった」
数字や具体的な行動があると、聞いている人の心に届きやすくなります。
まとめ
結婚式のスピーチって、難しいですよね。特に上司という立場だと、何を話せばいいのか、どこまで踏み込んでいいのか、悩むことも多いと思います。
でも、今回ご紹介したような「離れていた時間のエピソード」は、意外と使いやすいかもしれません。仕事の話でありながら、押しつけがましくなく、その人の人柄が自然と伝わる。
「時差14時間でも、毎朝報告を欠かさなかった」
たったこれだけの事実が、「優秀な社員です」という言葉より、ずっと多くのことを語ってくれます。
あなたと部下の間にも、きっとそんなエピソードがあるはずです。
※登場人物や場面はフィクションです。
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