こないだお伝えしたなぜ空は青いのか?の記事をつくっていて、興味深いことを発見した。
それは、ジョージ・マロリーは「そこに山があるから」なんて言っていないし、ユーリイ・ガガーリンは「地球は青かった」なんて言っていないのだ。
わりと有名な話ではあるが、掘り下げて調べたことはなかったので、ちょうどいい機会。ここで取り上げたいと思う。
まずはジョージ・マロリーから。
ジョージマロリーさんイケメンっすね!! pic.twitter.com/JrqC5bosnG
— カオルコ (@kaorucokaoruco) 2013, 10月 22
wikipediaによれば、この言葉は、1923年3月23日のニューヨークタイムズの記事に由来しているらしい。 wikipedia-ジョージ・マロリー http://bit.ly/1rK31VD なんと素晴らしいことに、この記事、今現在もインターネット上で閲覧することができるのです。 CRIMBING MOUNT EVEREST IS WORK FOR SUPERMAN http://graphics8.nytimes.com/packages/pdf/arts/mallory1923.pdf この記事によりますと、
Why did you climb Mount Everest? なぜエベレストに上りたかったのか?
という記者の質問に対して、
because it’s there そこにエベレストがあるからさ。
と答えています。 その後も、「そこに山があるからさ(キラーン☆)」のようなフィロソフィカル(哲学的)な答えにとくになく、記事は終わります。 どうやら誤訳と言うか、すごくロマンチックに解釈してしまったのが理由のようです。 次にユーリイ・ガガーリン。
今日はガガーリンの日。 RT @sen Happy International Day of Human Space Flight. April 12 1961 Yuri Gagarin 1st human #YURIGAGARIN pic.twitter.com/LfgbG5Kxfk
— 永瀬唯 (@kakansaku) 2014, 4月 12
フルネームは、ユーリイ・アレクセーエヴィチ・ガガーリンというらしい。ソビエトの軍人さんだって。
言わずと知れた世界初の有人宇宙飛行を成し遂げたボストーク1号の乗組員です。
で、このガガーリンが発した「地球は青かった」という有名な言葉。どうやらこれも正確ではないらしいのです。
この言葉が記されているロシアの新聞「イズベスチヤ」の1961年の記事の内容をウェブ上で見ることができる。
当時の記事の内容
http://www.oldgazette.ru/izvestie/12041961/text2.html
当然のことながらロシア語なので、全然分からないのであるが(弊社では翻訳業務も行っていますが、英語と日本語のみなんです。自分へのフォロー 笑)、ウェブ翻訳を掛けてみて、かなりめちゃくちゃな訳出をもとに探ったところ、
ユーリイ・ガガーリンは伝えます。
空、そして非常に暗い(非常に)、また青味を帯びた地球。
すべては卓越していて、全くわき出ます。
と話している。
「全くわき出ます」はたぶん間違いなので飛ばすとして、宇宙にいたガガーリンは、「暗い!」と言っているんです。そりゃそうだよね、宇宙だもんね。と、SFのアニメが好きな方にとっては突っ込みを入れるところですが、大事なのは、その続きです。「青みを帯びた地球」と言っており、それが報道の中で変化して行き「地球は青かった」にたどり着いたのだと思います。色の濃淡の問題だけじゃないの?なんていう見方もできますが、「地球は青みを帯びていたのであります」と普通に語っているように思えて、心を震わせながら「ちっ、地球は青かった!」と言っているようには思えません。
というわけで、マロリーさんもガガーリンさんも、ロマンチックなドラマチックな発言をしたわけではなく、現実的に答えた文言なのではないかと思うわけです。
まあでも、
聞き手「あなたはなぜ山に登るんだい?」
あなた「なぜって?それはそこに山があるからだよ。」
聞き手「宇宙から見た地球はどうだったのですか?」
あなた「青かったんだ。国境もなく、ただ青かったんだよ。」
こんなふうな答えだと思っていたほうが、心が豊かになりそうですね。