高校時代、野球部でバッテリーを組んでいた新郎へ贈るスピーチ。新郎と出会ってからの思い出を面白可笑しく、また一番の思い出である「あの試合」でのことを感動的につづった内容です。
ただいまご紹介にあずかりました渡辺です。
今日は矢野の友人代表として一言、僕から夫婦になりたての二人にお祝いの言葉を贈らせてもらいます。
矢野、よっちゃん、結婚おめでとうございます。
ご両家、ご親族の皆様、本日のご良縁誠におめでとうございます。
矢野とは高校時代からの付き合いで、同じ野球部でした。
クラブ初日、「顔が老けてたから先輩だと思った!」。これが矢野が僕に話しかけた第一声でした。「こいつとは絶対合わんわ!」僕はこのとき確信し、矢野をブラックリストに登録しました。しかし、運命とはおかしなもので、唯一、僕のブラックリスト名簿に載っている矢野とバッテリーを組むことになってしまいました。「絶望的!」っと思ったのもつかの間、話してみるといい奴で面白くて、即ブラックリストから抹消してやりました。
矢野の投げるボールは力強く、まっすぐで、でもたまに力が入りすぎてコントロールできない球を投げてくるときもあり、何事にも一生懸命な矢野の性格そのままでした。僕はそのボールをいつも全身全霊で体とグローブで受け止めてやりました。
矢野との付き合いの中で忘れられない思い出といえば、高校最後の夏、準決勝、対左右高校戦。0-0で迎えた九回裏、2アウト、最後の守備。最後に出てきたのは相手の4番バッター。これはピンチと思い、作戦のためタイムをとって矢野のところに走っていったのですが、そのとき矢野の目には涙がたまっていました。
「はやいだろ!」と思いながらもあの矢野が泣いていたこと、そしてそのときに、普段よくいらんことを喋る奴ですが、本当に大切なことは言わない矢野が言った、「まだバッテリー解散したくないな」の一言。その言葉で僕は感動し、涙腺がゆるみまくって号泣しました。
二人で試合が終わってないのに泣いたせいかその試合は負けてしまったものの、僕にとっては矢野の涙とあの一言のおかげで一番感動した試合になりました。そのときあらためてバッテリーを組んだ相手が矢野でよかったと実感しました。そして、今でも草野球でバッテリーを組んでいます。
でも、矢野はこれから結婚生活ではよっちゃんとバッテリーを組みますね。
もうずっと女房役をしてきた僕からよっちゃんに矢野を扱うアドバイスをしたいと思います。それは、もし、矢野が何かに困ったとき、怒ったとき、まず初めに何か食べ物を食べさせてやってください。彼はとても単純なところがあるので、口に何かを入れてみたら一生懸命噛んで黙ってしまいます。そして胃に入ったら落ち着くということが、長年バッテリーを組んできて学んだことです。だから、そんなときにはよっちゃんの美味しい手料理を食べさせて、励ましてやってください。
矢野とは、出会ってからもうすぐ10年。初めはブラックリストに載っていた矢野ですが、今では友人リストのトップ10入りをしてしまいました。そんな大切な友人の結婚を見届けられて、こうして直接お祝い出来て嬉しいです。
今日は本当におめでとう。そしてこれからもよろしく。
※この例文は著作権法で保護されています。